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株式会社ウォンズは、愛媛県宇和島市を拠点にITサポートサービスを展開する企業です。創業者である二宮社長は、家業の水産業から転身し、右目の失明という逆境を乗り越えて、ITの力で人々を支える企業を築き上げました。今回は、二宮社長に、ウォンズ社設立の経緯や企業理念、そして未来へのビジョンについてお話を伺いました。
話をした人(インタビュイー)
1998年ウォンズ創業。2000年に法人化し代表取締役に就任。また、元ソフトバンク関連会社 株式会社ドゥーイング取締役 副社長に就任(兼任)。現在は株式会社ウォンズでITサポートコールセンター事業を運営。
話を聞いて記事を執筆した人(インタビュアー)
新卒でベンチャーのWEB制作会社にエンジニアとして就職。3 年後に介護・医療系のメガベンチャーに転職し、その後起業。現在は株式会社スタルジーを含む3つの会社を経営。
ウォンズ社設立の経緯と創業当時のビジョン
株式会社ウォンズの代表取締役である二宮社長は、波乱に満ちた人生経験を経て、現在のITサポート事業の成功に至りました。彼の出発点は、ウォンズ社とはまったく異なる世界にありました。高校卒業後、二宮社長はプロミュージシャンを目指し、愛媛を離れて大阪へと向かいます。アメリカン・ロックに影響を受けた若き二宮さんは、当時のバンドブームに乗って、夢を追いかける日々を送っていました。
しかし、運命の転機が突然訪れます。20歳になる直前、母親が大病を患い、父親から「家族を支えるために愛媛に戻ってきてほしい」との要請を受けます。家族を優先する決断をした二宮さんは、音楽の夢を諦め、愛媛の実家へと帰ることにしました。彼の父親は水産業に従事しており、実家は「魚徳水産」という会社を経営していました。この転機をもとに、二宮社長の新たな人生が始まることになります。
「家業を継ぐ」という選択肢
二宮社長が家業に戻ると、そこには期待と同時に重圧が待ち受けていました。父親が経営する「魚徳水産」は、漁港で直接漁師から活魚を買い付け、近場から遠方まで様々な市場へ運搬・販売する卸問屋で、長年にわたって地域に根ざした事業を展開していました。
二宮さんはその一員として、トラックを運転し、活魚を運ぶという現場の仕事を任されます。トラックの荷台には水槽と発泡スチロールが積んであり、生きた魚は水槽で泳がせ、死んでしまっている魚は発泡スチロールに箱詰めしていました。しかし、彼にとって辛かったのは、現場での仕事そのものよりも、人間関係のプレッシャーでした。
社内では、先輩社員たちが仕事のストレスを発散するかのように、仕事後に愚痴や不満を口にすることも多く、二宮さんはいつも聞く立場に置かれていました。次第に、二宮さん自身にも「将来二代目として会社を経営するのであれば、こうしてほしい」という要求が寄せられるようになり、彼は板挟みの状態に苦しむようになります。
ある日会社のリーダーが、自分が会社へ貢献した見返りとして、過剰ともいえる要求をしました。しかし、社長である二宮さんの父親がその要求を拒否すると、そのリーダーを筆頭に社員全員が一斉に退職するという事態に発展します。
魚徳水産の最大の危機「リーダーと社員の一斉退職」と人生の転機
会社が人員不足に陥ったその後、魚徳水産の運営は社長である父親、闘病中の母親、二宮さん、そして近所の知り合いの方々に頼る形で続けざるを得ませんでした。不眠不休で作業を続ける過酷な労働環境の中、二宮さんは仕事中の事故で右目を失明するという、さらなる悲劇に見舞われます。網膜剥離という深刻な状況で、両目を包帯で覆われ、視界を失い病院のベッドに横たわる日々は3ヶ月間にもおよび、心も体も疲弊していました。
そんな中、魚徳水産を出ていった当時のリーダーやメンバーがみんなで病院に見舞いにきてくれました。そして「困ってるだろうから、会社に戻ってやるわ」と言い捨て、リーダーやメンバーは魚徳水産に戻ってくることになりました。彼らは退職後、新たに会社を作っていましたが、その経営は決して順調ではないようでした。
この一連のやりとりで二宮社長はひどくむなしい気持ちに陥ります。
このとき、信頼できる仲間と一緒に働きたいと思った二宮さんは、その仲間を作る決意をします。この想いが、今のウォンズ社の奥底にあるものです。
退院後、二宮社長はニュースで「Windows95」の登場を知ります。それが、彼にとってITの世界への入口となった瞬間でした。
不慮の事故によって彼の人生は、更なる大きな転機を迎えます。
今まで通りの仕事を続けることは困難だと感じた二宮さんは、「Windows95」の登場によりITの世界に可能性を見出します。保険金でパソコンを購入した彼は、毎夜遅くまでITの勉強に励みました。この努力が、後にウォンズ社の礎を築く重要なステップとなります。
会社名「ウォンズ」に込められた思い
日夜パソコンを触りITの勉強に勤しんでいた二宮社長はある日、世界中の水産情報を集めたポータルサイトを見つけました。そのポータルサイトをチェックしたところ、日本の水産情報があまりにも乏しいことに気付き、サイト運営者に「もっと良い情報を提供すべきだ」「ここはこうするべき」といった意見を送ります。しばらくすると、そのサイト運営者から「会いたい」との連絡があり、わざわざ愛媛県まで訪ねてきたのです。
驚いたことに、そのサイト運営者は世界中の大手水産業者に魚を供給している、水産総合商社の社長でした。その社長は、インターネットによって水産業に革命が起きると信じており、自身のビジネスの未来を熱く二宮社長に語りかけました。
さらに「君の考え方は素晴らしい。ぜひ一緒に働きたい」と声をかけてもらったことが、二宮社長に大きな希望とビジョンを与えました。この出来事が、彼のITビジネスへの転身と、「世界規模で活躍し、夢を与えられる経営者になりたい」と決意する転機となったのです。
その後、二宮社長は四国全域の水産業者に向けてインターネットを通じたビジネスを展開するため、総代理店として水産業者のホームページ制作を手がけ始めます。これが彼のITキャリアの始まりでした。やがて「インターネットで世界をつなぐ」という夢を実現するために、ウォンズ社を設立しますが、家族や周囲からの反対も強かったと言います。それでも彼は情熱を持って周囲を説得し、仲間たちと共に会社を立ち上げる決意を固めました。
1998年、二宮社長は自身の経験と新しいビジョンをもとに「ワールドオフィスネットワークサービス(World Office Network Service)」というキーワードからインスピレーションを受け、「株式会社WONS」を立ち上げます。設立の目的は、インターネットを駆使し、地域社会を超えて世界中の人々を繋ぐことでした。社名に込められた「ワールドオフィスネットワークサービス」という意味は、まさにそのビジョンを象徴しています。
ウォンズ社の設立メンバーは5人。二宮社長が初めてパソコンを買った販売店の従業員や、当時パソコンに詳しいと話していた同級生などに、ITの未来を熱く語って口説き落とし、なんとか5人を集めてのスタートでした。
ウォンズ誕生の背景と設立当初の苦難
パソコン教室とホームページ制作という2つの軸でスタートしたウォンズ社。地元宇和島市でITの普及を目指し、地域の人々にパソコンの利用を広めたいという強い意志がありました。しかし、立ち上げ当初は困難の連続でした。教室の立地も悪く、近隣からは当時社会から注目を浴びていた「新興宗教」と揶揄され、売り上げもまったく伸びなかったといいます。
思うように売り上げが伸びず、社員の生活を守ることが難しくなった頃、心が折れかかっていた二宮社長は一人の社員に「諦めようと思う」と話をしました。しかし、その社員から返ってきたのは、「社長は絶対成功できる人ですから、絶対に諦めずに頑張ってほしい」という言葉でした。
その後、「絶対に成功する」という強い信念のもと、なりふり構わず営業をこなし、パソコン教室のチラシなどにも色々な工夫を凝らした結果、少しずつお客様が増えてきました。
徐々にパソコン教室が軌道に乗り始めたタイミングで、「感謝祭」の企画を立案します。
しかし、お金はないので感謝祭と言いつつ一人3,500円の会費制にすることにしました。
感謝祭の中で行うゲームの景品やお土産もホームページ制作をした企業に声をかけ景品を出してもらうことにしました。
こうした苦労の末に開催したパソコン教室の感謝祭には、予想を大幅に超える80名が集まりました。この成功は、地域に支えられながら事業を続けていけるという確信を与え、現在のウォンズ社の基盤を築く大きな一歩となりました。
この成功によって地域社会からの支えを感じた二宮社長は、宇和島市にこだわり続ける理由として、地域の人々への感謝の気持ちを強調しています。
このようにウォンズ社の設立の背景には、二宮社長自身の逆境と、それを乗り越えてきた強い意志が込められています。また、設立当初に掲げていた「地域に根ざしたIT普及」というビジョンが、現在の事業にも大きく反映されていることが伺えます。
次に、企業理念やミッションについて掘り下げ、ウォンズ社が掲げる「a helping hand」という理念がどのように日常業務に反映されているかを探っていきます。
ウォンズ社が掲げる企業理念とミッション
ウォンズ社の成り立ちや二宮社長の人生経験が形作る企業の根幹には、「a helping hand(心遣いと思いやりの手)」という理念があります。この理念は、二宮社長が過去に経験した挫折や逆境の中で生まれたものです。家業の水産業で苦労し、信頼できる仲間との協力が如何に重要かを痛感した経験が、ウォンズ社のミッションに反映されています。
人と人との繋がりを大切にする「a helping hand」
ウォンズ社のサービスには、「人とITの融合」というテーマが常に掲げられています。
単なるITサポートではなく、顧客との関係性や信頼を築くための「a helping hand」という理念が、中心に据えられています。この理念は、パソコン教室の時代から現在まで、ウォンズ社のサービスの根底を支えています。
二宮社長は、サービス提供の現場で「何度同じ質問をしても大丈夫」と顧客に安心感を与えることが重要だと強調しています。ITのサポートは、技術的な支援だけではなく、人間味のある対応を通じて、顧客との信頼関係を築くことが必要不可欠だと考えています。
サービス提供において最も重要視している価値観
ウォンズ社のサービス提供において、最も重要視されている価値観は「心遣いと思いやり」です。特に、顧客が困ったときに頼りになる存在として、常に親切であることが求められています。この価値観は、パソコン教室時代から現在のITサポート事業まで、一貫して持ち続けられています。
ウォンズ社では、どのような質問にも誠実に対応し、顧客の期待を超えるサービスを提供することを目指しています。ウォンズ社が掲げる「心遣いと思いやり」という価値観は、ITサポート業務のすべてに反映されています。特に、顧客からのリピート率が高い理由の一つとして、技術的な問題を解決するだけではなく、顧客に対する温かみのある対応が、評価されていることが挙げられます。
ウォンズ社がサービスを提供する際、技術的な課題を迅速に解決するのは当然ですが、それ以上に大切にしているのが「お客様に寄り添う姿勢」です。顧客が不安に感じることなく、何度も質問できる環境を整えることで、顧客との信頼関係を築いています。
これは、コールセンター業務においても、直接対話が求められるパソコン教室においても共通しているポイントです。
ウォンズ社では、「ラポール」という評価基準を採用しており、スタッフがお客様といかに共感し、信頼関係を築いているかを評価するシステムを導入しています。このラポール評価は抜き打ちで実施され、顧客とのやり取りを通じて、スタッフが理念をどのように実践しているかが測られます。もし実践が不足している場合は、即座にフィードバックを受け、改善策が講じられます。
理念研修の導入とその効果
ウォンズ社では、社員全員が理念やミッションを理解し、それを日常業務に反映できるように、徹底した理念研修が行われていました。この研修は、かつて二宮社長が経験した経営者として成長するための厳しい学びから生まれたものです。二宮社長はかつて参加した、全国から問題を抱える経営者たちが集まった研修で、自身のリーダーシップや経営スタイルを根本的に見直す機会を得ました。その経験が、現在のウォンズ社の組織文化や社員教育に反映されています。
一方で、令和の時代になったことで理念研修は悪く言えば「価値観の強制」になってしまう可能性もあります。そのため、現在では評価制度や一般的な会社の入社研修プログラムの一部として実践することで、価値観の押し付けにならない理念の浸透を心がけています。これにより、社員全員がウォンズ社の理念を共有し、日々の業務に反映させることができるようになりました。
コールセンター業務やITサポートサービスを提供し始めたきっかけ
ウォンズ社が現在展開しているコールセンター事業とITサポートサービスは、2000年代半ば、ソフトバンクグループとの業務提携をきっかけに、本格的に始まりました。
当時、Yahoo!BBのインターネットサービスが全国に広まり、1,300店舗以上のフランチャイズ店が展開されており、ウォンズ社は、その店舗ネットワークを支えるためのITサポート業務を担うことになりました。
ウォンズ社は、このコールセンター業務を通じてITサポートの重要性を認識し、次第にこの事業に注力するようになりました。顧客からの技術的な質問やトラブル対応を行うだけでなく、訪問スタッフや加盟店のサポート役として、ITの知識が少ない人々をバックアップする役割を担いました。
ITの水際にいる人たちにサービスを提供する
ウォンズ社の使命は、技術力の高さを誇示することではなく、ITに馴染みが薄い「水際」にいる人たちに寄り添ったサービスを提供することにあります。高度な技術者向けのサポートではなく、初心者やITに不安を感じている方々が、どんなに基本的な質問でも気軽に聞ける環境を提供したいという思いが、会社のミッション・ビジョンに深く刻まれています。
その理念のもと、当時のウォンズ社は「みんなのパソコン教室ウォンズ」というブランドを掲げ、どこで購入したパソコンでも分け隔てなくサポートする体制を整えました。技術の質問は初心者にとって恥ずかしいと感じることもありますが、ウォンズ社では、そんな思いを払拭するために、質問しやすい環境づくりと親しみやすいサービスを心がけています。
この姿勢は、ウォンズ社のパソコン教室の運営においても強く表れていました。教室では、受講者がパソコンの操作に自信を持てるようになるまで、繰り返し丁寧にサポートが行われます。技術の専門用語に戸惑うことなく、まるで家族や友人に相談する感覚でサポートを受けられることが、ウォンズ社のサービスの特長でした。
また、ウォンズ社はどこで購入したパソコンであってもサポートを行う柔軟な対応を貫いており、ユーザーがメーカーサポートの限界に直面した場合でも、ウォンズ社が最後の頼れる「助け手」として手を差し伸べることをモットーとしています。ウォンズ社のサポートは単なるトラブルシューティングにとどまらず、利用者が「何度でも聞ける」安心感を提供することに重きを置いています。
こうしたアプローチは、ウォンズ社の大きな特徴や現在のITサポートサービスに繋がる礎であり、技術的な壁を乗り越えるサポートを提供し続ける企業の姿勢を象徴しています。
パソコン教室時代から現在までの思い出深いエピソード
ウォンズ社が成長する過程で、特に思い出深いエピソードとして二宮社長が語るのは、設立当初の苦労と、倒産危機を乗り越えたエピソードです。
設立当初の苦労は、前述した通りですが、もう一つ、二宮社長にとって最も印象に残っている出来事が、養殖業者向けのシステム開発に関わるエピソードです。
二宮社長が手がけたこのシステムは、養殖業者にとって革新的なものになるはずでした。しかし、システム開発に出資をしていた企業の業績悪化により、完成間近に、突然出資が打ち切られるという事態に直面します。開発資金の不足により、銀行借入金も返済できない危機的状況に追い込まれたウォンズ社。二宮社長は開発を手伝ってくれた10名ほどの養殖業者に「開発を諦めなければならない」と伝えるしかありませんでした。
二宮社長が「諦めなければならない」と告げると、その養殖業者の方々が「絶対に諦めるな。システムさえなんとか完成すれば、私たちが売ってみせる」と励ましの言葉を投げかけたのです。彼らの力強い支えによって、システムはまだバグだらけの状態にも関わらず、実際に彼らが率先して売り込みを行い、ウォンズ社は倒産の危機を乗り越えることができました。
この出来事は、単なるビジネスを超えて、お客様との強い絆と信頼関係を築くことの大切さを教えてくれました。ウォンズ社が提供するサービスの背後には、常に「お客様を大切にする」姿勢があり、その姿勢が結果として会社を守り、支えてくれる存在になったのです。
ウォンズ社が大切にしている「お客様との信頼関係」がいかに企業を支えるかを象徴したエピソードで、困難な状況を乗り越える過程でウォンズ社の価値観やビジョンがより強固になったことがわかります。
「人×IT」のコンセプトについて
ウォンズ社が掲げるもう一つの重要なコンセプトが、「人×IT」です。このコンセプトには、単なる技術支援を超えて、人と人との繋がりを技術でサポートし、人間味のある対応を重視するという哲学が込められています。技術が高度に発展する現代においても、最後に大切なのは「人と人との心の繋がり」であるという考えです。
二宮社長は、パソコン教室時代の経験を通じて、ITに苦手意識を持つ多くの人々が、どうすれば安心して技術を学び、サポートを受けられるかを深く考えるようになりました。その結果「恥ずかしくない環境を作ること」や「楽しさを提供すること」が重要であると感じ、ウォンズ社のサービスにはその理念が色濃く反映されています。
このコンセプトは、ウォンズ社が提供するITサポートサービスのすべてに共通しています。技術がどれだけ進化しても、最終的に顧客と接するのは人であり、その人がどれだけお客様に寄り添えるかが、サービスの成功に直結していると二宮社長は考えています。
コールセンター事業を通じて社会に与える影響
ウォンズ社が展開するコールセンター事業は、単なる顧客対応の場を超え、社会全体に対しても大きな影響を与えています。コールセンターはITサポートの最前線であり、顧客が困ったときに最初に頼る場所です。そのため、ウォンズ社はこの事業を通じて、顧客のITリテラシー向上に貢献すると同時に、社会全体のIT環境の改善を目指しています。
特に、地方の中小企業や個人のお客様にとって、ITの問題は非常に大きなハードルとなりがちです。ウォンズ社のコールセンターは、そうした顧客に対して手厚いサポートを提供することで、地域に縛られないIT普及にも貢献しています。
ウォンズ社は、地方から全国、さらにはグローバルに向けたITサポートの普及を目指しており、コールセンター事業はその中心的な役割を担っています。
ウォンズ社が現在抱えている最大のチャレンジ
現在、ウォンズ社が直面している最大のチャレンジは、急速に進化するIT業界とそれに伴う人材の育成です。特に、コールセンター業務における自動化やAIの導入が進む中で、ウォンズ社としては「人の手によるサポート」をどのように維持していくかが大きな課題となっています。
ウォンズ社では、テクノロジーの進化を受け入れつつも、従業員の育成やサポート体制を整え「人とITの共存」を目指した取り組みを続けています。例えば、AIによる自動化が進む業務においても、顧客との最終的な接点は人間が担当し、そこに「思いやり」や「寄り添う姿勢」を持たせることが重要だと考えています。
成長計画と今後のビジョン
ウォンズ社の今後の成長計画として、二宮社長は「より多くの人々にITの力を届ける」というビジョンを掲げています。具体的には、地方だけでなく全国的なITサポート体制の強化、そしてIT技術の進化に対応した新しいサービスの開発が進められています。
ウォンズ社は、ITを通じた社会貢献を強く意識しており、特に「人とITを繋ぐ」ことで、地域社会や地方の活性化にも貢献するビジョンを持っています。これには、コールセンター事業を中心とした、リモートワークや在宅勤務をサポートする仕組みも含まれており、働き方改革にも積極的に取り組んでいます。
地域社会や社員に対する貢献
ウォンズ社は、愛媛県宇和島市を本拠地とし、地域に根ざした企業活動を続けています。地域社会への貢献として、ITを通じて地方のインフラを支えることを目指しており、地元の雇用創出にも寄与しています。また、地域の人々との信頼関係を大切にし、地元に根付いたサービスを提供することがウォンズ社の使命でもあります。
また、ウォンズ社では社員に対しても、長期的なキャリア形成や働きやすい環境の提供に力を入れています。特に、IT業界で働く社員が誇りを持って仕事に取り組めるよう、従業員の教育やスキルアップに注力しており、その結果、社員の定着率も非常に高くなっています。
ウォンズ社では、正社員の10年勤続率が40%を超えており、サービス業の中では異例の数字です。この数字の裏には、社員を大切にし、長期的なキャリア形成を支援する企業文化があります。特に、正社員比率が高いことが特徴で、単なるコールセンター業務ではなく、社員がスキルを伸ばし、キャリアを積み上げられる環境を整えています。
このような取り組みによって、社員のやる気やモチベーションが高まり、顧客に対してもより高品質なサービスを提供できる環境が整っています。
ウォンズ社が目指す未来の姿
ウォンズ社が掲げる未来のビジョンの中心には、「じぶん専用IT相談室」という新しい形のITサポートサービスがあります。「じぶん専用IT相談室」は、ITに関するあらゆる困りごとを、利用者が気軽に相談できるチケット制サービスです。ITに不慣れな方でも、20分単位や40分単位でチケットを購入し、電話やリモートサポートを通じて、その場で専門的なアドバイスを受けることができる仕組みです。
このサービスの背景には、ITサポートが技術力だけでなく、利用者が「困ったときにすぐに頼れる」環境を提供することが重要だというウォンズ社の理念が反映されています。特に、IT初心者や高齢者、日常的にパソコンやスマートフォンの操作に悩む方々に向けて、「じぶん専用IT相談室」は頼りになる相談窓口として機能します。
ウォンズ社の「じぶん専用IT相談室」は、単なる問題解決にとどまらず、利用者との信頼関係を築くことを目指しています。特に、ITの世界に疎い人でも恥ずかしがらずに質問できる環境を整え、「何度聞いてもいい」という温かいサポートを提供することが、ウォンズ社の強みです。利用者が自由に相談できるこの柔軟な体制は、ITに対するストレスや不安を軽減し、顧客満足度を高めています。
ウォンズ社は今後、この「じぶん専用IT相談室」をさらに発展させ、ITサポートの新たなモデルケースとして広めていく計画を持っています。チケット制の相談窓口という柔軟なサービス提供は、特に個人や中小企業にとって大きな助けとなり、IT問題を解決するだけでなく、長期的な信頼関係の構築にもつながるものです。
ウォンズ社は、未来に向けてITサポートの枠を超え、人々の生活や業務の中に溶け込み、「身近なIT相談員」として常に寄り添う存在であり続けることを目指しています。
さいごに:ウォンズ社の信念と未来への展望
ウォンズ社の歴史と成長の背景には、二宮社長の強い信念と、彼の経験に基づく「人を大切にする」姿勢が常に存在してきました。家業での苦労や、右目を失うという逆境から学んだ「信頼できる仲間と働くことの重要性」が、ウォンズ社の企業文化やサービス提供の根底にあります。
また、IT技術が日々進化していく中で、ウォンズ社は「人×IT」というコンセプトを掲げ、技術と人との関わりを深めるためのサービスを提供し続けています。二宮社長が大切にしている「a helping hand」の理念は、単なる技術的サポートにとどまらず、人間的な温かみを感じさせるサービスとして今後も進化していくことでしょう。
ウォンズ社は、ITの未来を見据えながら、地域社会への貢献や、顧客に対する思いやりを大切にし続ける企業です。これからのウォンズ社の展望として、「じぶん専用IT相談室」をはじめとする新たなITサポートサービスを通じて、さらに多くの人々に「安心」と「信頼」を届ける存在であり続けることが期待されます。
スタルジー飯塚による編集後記
今回のインタビューを通じて、ウォンズ社がどれほど『人を大切にする』という姿勢を貫いているかを改めて感じました。二宮社長の波乱に満ちた人生経験から生まれた『a helping hand』という理念は、単なるビジネスのスローガンではなく、会社全体に深く根付いているのだと強く感じました。ITの世界がどれだけ進化しても、最終的に頼りになるのはやっぱり人の温かさや信頼関係です。ウォンズ社のサービスには、その一貫した姿勢が反映されており、利用者が安心して頼れる場所を提供しているのだと実感しました。これからのウォンズ社がどのように成長し、さらに多くの人々を支えていくのか、とても楽しみです。